別れても好きなひと
「いらっしゃいませ。」

私たちは2年前に入籍して美容室を開いた。

完全予約制の美容室。

それでもかなり人気があり大悟の予約は数年後まで入っている。

私の予約は2か月後までしか入れていない。

なぜかというと…。

「莉子。行くぞ。」
「待って。鍵忘れた。」
「俺持ったよ。ほら。」

大悟が私に手を伸ばす。
私がその手を握ると大きなごつごつとした手でしっかりと握り返してくれる。

大悟がお店の鍵を閉める間その手を見つめる。
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