別れても好きなひと
「どうした?具合悪い?」
「うんん。」
「なんだよにやにやして。」
「んふふ。」
「変だぞ?やめろよ、うつるだろ。」
「?」
「ママに似るなよ~。頭おかしいから。」

大悟はそう言って私のお腹に向かって話しかける。

「やめてよ~。仲間はずれにしないで。」
「うそだよ。ほら、ちゃんと足元見ろ。」

私たちは歩き出した。

もうすぐ私をいつも支えて守ってくれるこの大悟の手で新しい命を抱く日が来る。

そう。

私たちはまた命を授かった。
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