別れても好きなひと
「しんどくないか?」
「うん。」
「お腹、張ってないか?」
「大丈夫。」

私の歩調に合わせて歩く大悟はすっかり父親の顔。

昔よりごつごつとした手。

少ししわの深くなった顔。

低くなった声。

「足元ちゃんと見ろって。転ぶぞ。」
「うん。」

大悟に見とれていると大悟は照れたように笑った。

その笑顔は昔と変わらない。
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