別れても好きなひと
「怖い!見れない!」
私は妊娠検査薬の判定窓を手で覆い見えないようにして大悟につき出した。

「ばか。俺も見れないよ。緊張すんだろっ。」
「え~ここは男らしく!」
「差別だろ。」
「あっ」
不意に私が検査薬を床に落とし二人で判定窓を見てしまった。

見た瞬間私も大悟もその場にしゃがみこむ。
顔を覆い泣き始める私を大悟が抱き締める。

そんな大悟も震えている。


「ありがとう。莉子。大切にしような。」
震える声の大悟に私はただただ頷いた。
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