別れても好きなひと
「莉子。」
「ん?」
赤ちゃんを起こさないように小さな声で大悟が話始める。

「ありがとう。」
「うん。」
うまれてからずっと大悟はありがとうと私に繰り返す。

「名前、かんがえてくれた?」
「決めた。莉子が分娩室に入るとき、この子が生まれたとき、この名前しかないと思った。」
「なんて名前?」
大悟は赤ちゃんを抱いたまま私の横に座る。

まだふわふわしてる赤ちゃんの手を私がぷにぷにすると赤ちゃんは「んく~」とかわいらしい声を立てて私と大悟は思わず顔を合わせて笑った。
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