別れても好きなひと
タクシーで大悟の部屋に向かうと高層マンションの前でタクシーがとまった。

「ここの１０階なんだ。」

さっとタクシー料金を払い私の荷物を持ち、足を怪我して歩き方のぎこちない私を支える大悟。昔からこういうところはスマートだった。そんなことを懐かしみながらエレベーターに乗ると、他の住人もいた。

背後に自分よりも背が高い人が立っているとついさっきのあの男を思い出す。はやく逃げ出したい気持ちをぎゅっと目を閉じてやりすごそうとしていると、大悟は私に気付き背後から守るように支えてくれた。

「ありがとう。」
「大丈夫か？真っ青だぞ？」
「大丈夫に…なった。」

正直な気持ちを伝えると大悟は優しく笑った。
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