別れても好きなひと
「まだ帰らないのか?」
「もうすこしで帰ります。」
「なんで敬語?もう誰もいないぞ?」

私がカット練習をしている隣に大悟が立った。

「昔からそう。お前は何かあるとやたらとカット練習はじめる。」
「なにもありません。新しい道具に慣れたいの。」
「へぇ~」
「先に帰って。お疲れ様でした。」
「送るよ。帰ろう。それか話し聞く。」
「なにもないって」
「嘘だな。嘘ばっかりうまくなって。」
「え?」
「なんでもない。奥にいる。」

大悟はそう言ってスタッフルームへ行った。
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