オネエが野獣になるときは。


それからある程度部屋の片付けを終えれば、キッチンから漂ういい香り


「支倉ちゃん、ご飯できたわよー」

「うわぁ…美味しそう!」

「支倉ちゃんの口に合えばいいんだけど」


目の前のご馳走に目がキラキラする。


「さ、食べましょ」

「いただきます」

「…どう?」


不安げに私の反応を伺う社長。

だけど社長が作ったご飯に文句があるはずもなく。


「なにこれ…すっごい美味しいです!!」

「ほんとっ!?よかった~お口に合ったみたいで」


料理も上手だしルックスも完璧だし、オネエってこと以外非の打ち所がないよなぁ本当。

こんな完璧人間と結婚できるなんて、普通なら喜ぶべきだよね。


「あ、支倉ちゃん口にソースが付いてる」

「え?ここですか?」

「あー、そこじゃなくて。ここよ」


社長は私の口元に手を伸ばし、長い指でソースを拭った。


ペロッ


「ん。支倉ちゃんの味がするわ」

「な…っ!なにするんですか!」


…前言撤回。

やっぱりこの人と結婚なんて、問題ありまくり!
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