オネエが野獣になるときは。
「ふんふんふーん」
ご飯を食べ終えれば、洗い物までしようとする久我社長を止めて私が食器を洗う。
…はずが、隣には機嫌よく鼻歌を歌う社長の姿。
「あの…社長はなんでここにいるんですか…?」
「えー?なんでいるのって酷くなぁい?」
「いや、そういうことじゃなくて…」
食器を洗っている隣で鼻歌を歌われる私の気にもなってくれ。
「まぁ本当は…支倉ちゃんから離れたくないから」
耳元に口を近付けて彼は静かに囁き、その瞬間ドキリとなる私の心臓。
「…なーんて言ったらどうする?」
―――ガシャンッ
「痛…っ、」
しまった、私としたことが動揺してお皿を割っちゃった…
そうだよね、冗談だよね。
社長は私の反応を面白がってるだけなのに。
「あの…社長すいませ…」
「おいっ、大丈夫か!?」