オネエが野獣になるときは。
コツコツと聞き慣れたハイヒールの音が廊下に響く。
途端にみんなの視線は一点に釘付け。
「おはようございます、社長」
「おはよう」
艶やかな黒髪に、すべすべの肌
身長180センチを超えるスタイルはモデルさながらだ。
そして極めつけは、老若男女問わず見惚れるその美貌
…神様は不平等すぎる。
「おはようございます」
「おはよう…って、あら?支倉ちゃんちょっと…」
こんな人間離れした人が身近にいるなんて、自分が嫌にもなるよ。
ましてやそんな美貌の持ち主が…
「やだぁっ、あなた今日寝不足でしょっ!?お肌の調子が悪いわよっ!!」
―――オネエなんて。