オネエが野獣になるときは。



「…は?」


背中にはソファの感触

視線の先には天井とドアップの整った顔

それはあまりにも突然の出来事で、私が理解するよりも先に社長は言葉を繋げる。


「逃がさないわよ?」


な…な…


「…なにするんですかぁっ!!!」


私…なんでこの人に押し倒されてるわけ!?


「ほんと冗談やめてください!」


私に跨る社長を力一杯押しのけ、一刻も早く自分の部屋に避難

…するはずが、相手はこう見えても正真正銘の男。

いくら彼が酔っていようが力で勝てるはずもなく


「はぁ…支倉ちゃん、私逃がさないって言ったわよね…?」


綺麗に結ばれたネクタイに手を掛け、シュルッと外した途端


「…っ」


明らかに変わった彼の目つきはまるで野獣




「…逃げられないようにネクタイで縛ってやろうか」


出た、男モード…!
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