オネエが野獣になるときは。


「別になにもされてないから全然大丈夫です」


実際押し倒されたぐらいしか害はないし。

それ以上は特に問題なし。


「だめよっ!!」

「はい?」

「女の子がそんなこと言っちゃダメ!今回は全部私のせいなんだけど…なにかされてからじゃ遅いんだからね!?」


まさか襲われそうになった人にそんなことを言われるなんて…

でも、こんなに真剣な顔でそんなこと言うんだから本当に悪気はなかったんだな。


「本当に大丈夫ですよ。だけど、次からは社長がお酒を飲んだときは近付かないようにしますね?」

「支倉ちゃんに避けられるのは辛いから…私も飲み過ぎには注意するわ」


確かに身の危険は感じたけど…

普段は完璧人間な社長の人間らしいところが見れてちょっとだけ嬉しかった、なんてことは言わないでおこう。

さらに怒られちゃいそうだし。


…それにしても、なんでも要領良くこなす社長がなんであそこまで飲んだんだろう。

あの人なら自分のペースなんて絶対分かってるはずなのに。


だけど、少し考えてもその理由が分かるわけもなくて

…私がその訳を知ったのはもう少し先のこと。



*to be continued*
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