ヒロイン失格者達のお茶会
コンサバトリーの中からはもう彼女達の声が響き渡ってくる。
どうやら遅刻決定のようだ。
「ごめん!遅くなった!」
そう言いながら中へと入ると、机を囲む3人の女の子達が私に視線を向けてきた。
「これで遅刻3回目ですよ、マージリオン」
「あら、4回目じゃなくて?」
「どっちにしろ……遅刻は遅刻だよ……」
3人が次々に私ーーマージリオン・ダリアスに向かって遅刻という事実を投げつけてきた。
ごめんごめんと謝りながら、私は持ってきた茶菓子のスコーンを机の皿に順次に並べる。
「今日も素敵なドレスね、イザベラ」
「うふふ、そうでしょう?」
最初に私の遅刻の指摘をしたイザベラ・マシェット・ハトソンに、真っ赤なドレスの印象を笑顔で伝える。
「そのネックレス、もしかしてダイヤモンド?」
「見る目あるわね。褒めて差し上げる」
遅刻の回数をきっちりと覚えていたエリカ=ラートンに、胸元に大きく輝くネックレスのダイヤモンドに驚きながらスコーンを置いた。
「今日はその三つ編み、裏編みこみ?」
「……うん」
遅刻決定という事実を突きつけてきたキーナ・アレナの柔らかい三つ編みに触れながら、笑顔を向ける。
そして私のいつもの場所にも自分で作ってきたスコーンを置く。
するとイザベラは、紅茶がはいったティーカップを私の席の前に置いた。