ヒロイン失格者達のお茶会
紅茶を飲みながら、茶菓子を食べて日々溜めている他の人には決して言うことができないことを口にしていく。
「そういえば王妃の座、本格的に確定って本当?」
「ええ。そうらしいですわね」
私の質問に投げやりにイザベラがそう答えると、紅茶を一気飲みして項垂れる。
そんなイザベラにエリカが鼻で笑いながら、優雅に紅茶を啜る。
「もうそれこそ、隣国の王子狙ったら?」
「もう王子になんて興味ありません。そういうエリカも、縁談の話はどうなったの?」
「ふん。義妹の結婚式の準備でそれどころじゃないわよ」
眉間にしわを寄せながらエリカも、一気に紅茶を飲み干し鼻息を荒くする。
そんな2人の様子を見ながら、キーナは私が作ってきたスコーンに齧り付きながらぽつりとこぼす。
「……最初から輝かしいもの手に入れようとするから、落胆するんだよ」
「そういうあんたは魔女なのに陰キャすぎるんだから、人目に映らないのよ」
「好きな人を追いかけても、届く可能性ゼロですわ」
「……うぐっ」
痛いところを突かれてどんどんキーナの影が薄くなっていくような気がして、私は咄嗟にキーナの前にスコーンを追加した。