一途彼女×S系彼氏
「卒業おめでとう。」
髪が黒くなった颯人は、
スーツを着ているせいもあって
妙に大人っぽく見えた。
「颯人も。卒業おめでとう。」
視線が絡み
2人から笑みが零れた。
私達の距離が
一歩また近づき、不思議に思って見上げると
とても真剣な目をした颯人がいた。
ドキッと高鳴る心臓の音を聞きながら
颯人の言葉を待っていると
「莉子。」
優しい声で名前を呼ばれて
更に心臓がうるさくなった。
そして―――
「この大学に受かった時の俺の言葉、
覚えてる?」
もちろん…。
私が何も言わず静かに頷くと
颯人はホッとしたように笑って
「もう一度、ちゃんとここで約束しよう。」