ナツマツリ
第一章

/日常と帰省



――島崎ナツ。大学1年生。夏生まれだからナツ。ちなみに女。


「ナーツってば!」

「なにー。」


今日は夏休み前最後の講義の日。目の前で昼食のうどんを食べながら話しかけてくるのは、大学で仲良くなった友達の佳奈。


「だーかーら。夏休みどこ遊びに行く?ってさっきから聞いてるのー!」

「あ、ごめん佳奈あたしパス。」

「はあ?」


思いっきり眉根を寄せる彼女に苦笑い。すっかり言うの忘れてた。


「明日から夏休みの間は地元に帰るから。」

「え!?バイトどーすんの!」

「いやバイトしてないからね。」


ことごとく面接に落ちたこと佳奈には伝えた筈なんだけど。しかし彼女は納得していない様子。


「…一緒に買い物とか行きたかったのに。」


ぶすっと口を尖らせて睨まれる。折角可愛い顔が台無しだ。


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