ナツマツリ

と。そんなあたしの様子にクスリと微笑を浮かべた侑。


…嘘。絶対に見られていた。


思わず口許をその雑誌で覆い隠すあたし。


これで目から下は完全に侑の視界からシャットダウンされた、筈。


チラリ、目線を彼と合わせるように見上げると。


「ふーん。」


意味ありげに瞳を細めた彼は、口許に弧を描いた。


「そういうことされると、逆に奪いたくなるんだけど。」


そう言うや否や、カタログをいとも簡単に取り上げてしまう彼。


あたしの驚きと抗議の声は、その唇に塞がれたことにより発されることは無かった。


「んっ、」