ナツマツリ

/a tearoom



暖かい日の光りが差し込む窓際。侑の大学に併設された図書館にお邪魔し、一人黙々とシャープペンシルを動かしていた。


「……ふぅ。」


一般解放されているし、時折環境を変えてみるのも得策だろう。


と。

「ナツ。」

「あ、侑。お疲れ。」

「ん。」


周りに気を配りながら小声で労いの言葉を掛ける。


講義が終わったらしい彼は、あたしの向かいの席に座って分厚い書物を取り出した。


「…すごい厚い本。」

「あぁ、これ?まあな。」


ケースから眼鏡を出してそれを掛けた侑。


その様子を、チラリ。捉えたあたしは、再び眼下のレポートに視線を戻した。

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