ナツマツリ
耳に入るのは、質素な時計の針の音のみ。
僅かに字を記す音も交えながら、自らの作業に集中して取り組んだ。
――――――――――――…
「肩凝った…。」
「ババアか。」
「む、煩い。」
「どっか寄ってくか?」
「うん、いいよ。」
数時間後。図書館を出たあたし達は、橙色に染め上げられた空を見ながら歩みを進めていた。
侑は然りげ無くあたしを歩道側にしている。意外と紳士である。
と。
「あ、あの喫茶店。」