ナツマツリ
店員さんのそんな台詞を耳に入れながら、目ぼしい席を探すため辺りを見渡した。
そして。
「あ、侑!あの窓際の席にしようか。」
「おー。」
別にどこでもいいんじゃね、とでも言いた気な彼の視線は見て見ぬ振り。
席に着いたあたし達のところへ、メニュー表を持った店員さんが向かってきた。
「ご注文お決まりになりましたら、お声掛け下さいませー。」
ニコリ、と。所謂営業スマイルを口許に携えた店員さんは、足早に店の奥へと姿を消した。
「どれにしよう…。」
「俺ブラック。」
「え、折角来たんだから別のにしようよ。」
「ナツの貰うからいいー。」
「…む。」