ナツマツリ
「なんでそっち向くんだよ。」
「っ、無理だって…!」
「なんで。」
「………、」
「ナーツ。」
ま、分からなくも無いけど。
ふわりとした猫っ毛を掬い上げ、耳にかけてやれば。
ビクリ、と。肩を震わせて僅かにこちらに視線を寄越した。
「(…こいつ、)」
なんでこんなに煽るような反応ばかりするんだ。
「っ、ゆう…!」
「はい静かにー。」
堪らず腕を腰にまわして引き寄せて。その華奢な肩口に顎を乗せた。