ナツマツリ


「なんでそっち向くんだよ。」

「っ、無理だって…!」

「なんで。」

「………、」

「ナーツ。」


ま、分からなくも無いけど。


ふわりとした猫っ毛を掬い上げ、耳にかけてやれば。


ビクリ、と。肩を震わせて僅かにこちらに視線を寄越した。


「(…こいつ、)」


なんでこんなに煽るような反応ばかりするんだ。


「っ、ゆう…!」

「はい静かにー。」


堪らず腕を腰にまわして引き寄せて。その華奢な肩口に顎を乗せた。

< 120 / 232 >

この作品をシェア

pagetop