ナツマツリ
第二章

/再会と戸惑い



――翌日。


「あら、ナツちゃんじゃない!」

「ご無沙汰してます。」


強い日差しが照りつける中、手持無沙汰なあたしは少し歩いて近所の商店街に顔を出すことにした。


ミーンミーン、と。絶え間なく続く蝉の鳴き声が夏の暑さを助長する。


鞄も持たずにぶらぶらと足を進めるあたしに声を掛けてきてくれたのは、昔からの馴染みである八百屋のおばさんだった。


「髪が茶色くなってて誰だか分らなかったわよ。」

「そうですか?」

「化粧まで覚えちゃって!彼氏でも出来たんじゃないのー?」


うりうり、と肘で突いてくるおばさんに思わず苦笑。


「そんなわけないですって。」


それどころか失恋に似たことを経験したばかりである。


そんなあたしの様子に気づく筈もないおばさんは、あ、なんて素っ頓狂な声を出した。


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