ナツマツリ
今こうして見ると、数ヶ月前の祭での夜を思い出す。
ずっと幼なじみとして時間を過ごしてきた侑と、キスまで交わすようになったなんて。
「、」
なんだか。擽ったくて、ふわふわする気持ち。
その声が鼓膜を震わせる度に。
その体温に包まれる度に。
その瞳に見詰められる度に。
高鳴ってしまう心臓は、あたしの彼への気持ちを代弁している。
「ナツ、何頼む?」
「あ、うーんと…。」
いきなり振り返った侑に驚きつつ、注文する順番が巡ってきたのだと理解する。
ちらちら、と。光りを放つ電子メニュー板を見詰めながら、眼前でこちらを見下ろす彼と視線を合わせて。