ナツマツリ
「ポップコーン、半分こしようか。」
「(半分こ、とか。)」
「え、どうしたの侑。」
「……、いや、なんでも。飲み物は?」
「烏龍茶、かな。」
「了解。」
繋いでいないほうの手でポケットから財布を取り出した彼に、慌てて口を開く。
「待って。半分…、」
「いいから。」
「でも、」
「ここは譲らねぇぞ。」
断固として取り合おうとしない侑。
微笑混じりの息を吐き、また後で何か奢ればいいか、と考え直す。
希望通り少し大きめのポップコーンと烏龍茶二つを手にして、肩を並べスクリーンのある部屋を目指した。