ナツマツリ
ずんずん、と。大層ご機嫌に足を運ぶ侑に思わず白目をむきそうになる。
縺れそうになる脚を必死に動かし、彼の長いそれの速さに合わせて付いていった。
――――――――――――…
「む、無理だって…!」
「やる前から諦めんな。」
「ちょ、それ今言う台詞じゃない!」
「ほらほら、始まんぞ。」
チカチカ、と。目が眩むようなネオンの中、流れてくるのはお決まりの機械の台詞。
「はい、撮るよー」という女の子特有の声高な音声が、あたしの心情を焦りで埋め尽くした。
3秒前のカウントダウンが始まり、どうしようか必死で模索していると。
「ナツ。」
「なに、って―――…!」