ナツマツリ
最近ではもう慣れた、このやり取り。
頭上に乗せられた心地好い掌の感触に目を伏せ、リビングへ歩き出した侑と肩を並べた。
彼に続き室内に足を踏み入れると。
「………?」
「どうしたの。」
首を傾げているその姿を不思議に思い、声を掛けた。
「こんな雑誌あったっけ。」
「あぁ、それあたしの。」
「はぁ?」
先程目を通していたそれを訝し気に見詰めていた侑は、眉根を寄せてこちらに振り返った。
「バイトしようと思って。」
「しなくていいだろ。」
「いや、駄目でしょ。」
「なんでだよ。」
「侑だってしてるじゃん。」