ナツマツリ
目を白黒させて彼を見遣るあたし。
「………、本気?」
「当たり前。」
「だって…、え?」
「俺の部屋、まだ余裕あるし。」
確かに。学生にしては珍しく、侑の部屋は居間と寝室が分かれているタイプのもので。
住もうと思えば、難無く一緒に暮らせるとは思うけれど。
「……悪いじゃん。」
「全然。」
「あたしがバイトすれば問題無いよ?」
「俺が嫌なんだよ。」
「?、なんで。」
首を捻りつつ侑を視界に映していれば、ばつが悪そうに頬を掻いた彼は視線を逸らしたまま口を開いた。