ナツマツリ
「一々、ナツが接客する相手に嫉妬しそうだから。」
「、」
「引いた?」
「んな訳ないじゃん…!」
他の誰がどう、だとか。そんなことは知らないけれど。
あたしの生活は侑中心に回っているってこと、こいつは知っている筈なのに。
珍しくも眉を下げている彼の両頬を双手で包み込み、見上げながら言葉を紡いだ。
「今晩、お母さんに電話して聞いてみるから。」
「ん、分かった。」
こつん、と。身を屈めて額を合わせた侑。
そのまま擦り寄せるように頬を合わせ、その心地好さに瞳を伏せた。