ナツマツリ
/a department store
同棲を始めて一ヶ月程経ったある日のこと。
「侑、あたし買い物行ってくる。」
「あぁ?誰と。」
「一人で。」
「………ちょっと待っとけ。俺も行く。」
服や食料品を購入するべく出掛けようと計画したあたしは、侑の一言で運びかけた足を再び地に縫い付けた。
「そういや、何で行くつもりなんだ?」
「え?……普通に電車で。」
「何買いに行くんだよ。」
「服と食料品を……、」
「一人じゃ確実に無理だろ。」
「……ですよね。」
全くもって間抜けだ。考え無しの自分が心底恨めしく感じられる。
「しかも今日は雨だろ。」
「うん……。」