ナツマツリ
しん、と。情けなくも重たい沈黙があたしを襲う。
と。
「車で行くか。」
「え、無免許…!」
「馬鹿野郎。こっち出てくる前に取ったんだよ。」
阿呆め、とでも言いたげな呆れ返った視線を逸らすことで回避する。
段々と侑の攻撃を受け流す術を見出だしてきた自分自身に拍手喝采したい心持ちである。
「レンタカー借りるぞ。」
「へー…、」
「なに。」
「なんか楽しみ。」
「?、なんで。」
「だって、ドライブデートじゃん。」
両の手の平を合わせ、爛々と瞳を輝かせて侑を見詰めていれば。