ナツマツリ
ふうん、と。些か驚いたように目を瞬かせた彼に首を捻った。
「なに。」
「いや、だってさ。」
「うん?」
「お前の口からデート、なんて積極的じゃねぇ?」
「あ…!」
「やっぱ深く考えずに言ってただけか。」
はぁ、と。「しょうがねぇな」なんて呟いている侑が視界に映り込んでいるけれど、それどころでは無い。
あたしは僅かな時間を遡りたい衝動に駆られた。
「は、恥ずかしい…!」
「お前は何をそんなに構える必要があるんだよ。」
「だって…!」
「ナツは初《うぶ》すぎる。」
至極真面目な顔をしてそう言われてしまう、と。反論の余地が全く無いじゃないか。