ナツマツリ


「やばい!」

「やばい、だけじゃ嬉しいのか違うのか分かんねーんだけど。」

「嬉しいほうだよ。」

「…………ああ、そう。」


ガキだな、なんて視線で語る侑。完全に反抗心を募らせたあたしは横顔を見詰めながら口を開いた。


「侑だって使うでしょ。」

「いや、俺は言わねぇ。」

「え、嘘!」

「何でもかんでも"やばい"で片付けんのは現代人の悪い癖だ。」

「…なんかオジサンくさい。」

「うるせー。」


信号が赤になったところで、バチン、と。額に走った鋭い痛みに悶え苦しむあたし。


「デコピンした…!」

「はいはい。んで行き先はあのデパートでいいんだろ?」

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