ナツマツリ
「そうかなぁ。」
考え込むようにして手に顎を乗せるおばさんは言葉を続ける。
「さっき来たときも、最近のナツちゃんについて嬉しそうに喋ってたけど。」
「、え?」
思わず目を瞬かせる。
いやいや、そんな筈ないって。だって連絡すら全然取ってないし。
「(おばさんの、勘違いだって。)」
小さな胸の高鳴りには、気付かないふりをした。
――――――――――――…
だらだらと、熱気を孕むコンクリートの上で足を進めていく。
「…あつ。」
一通りお世話になっていた人たちに挨拶を終え、再び家に向かう道中。思わずこぼれた独白は、暑さで揺らめく地面に吸い込まれていった。