ナツマツリ


「じゃ、日常的馬鹿?」

「なんだそれ…!」


ばしり、と。背中に平手打ち攻撃をしようと目論むが、するりと回避され敢え無く失敗。


丁度チーン、という陳腐な音がエレベーター内に響き、そのまま手を引かれて箱から出た。


「お前が俺に反撃とか百年早い。」

「むかつく…!」

「はいはい。」


キッ、と。眉尻を吊り上げて睨みつけるも、クスリと笑われてしまう。


そんな綺麗な表情で微笑まれたら、怒る気なんて失せてしまうのだけれど。


そのままボケッ、と彼の横顔を見上げていれば、視線だけで見下ろしあたしを捉えた侑。


休日のため、沢山の人で賑わう店内。


場所は、今季の流行らしい服を着たマネキン横。

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