ナツマツリ
ちゅ、と。前髪を掻き上げられ、柔らかく温かな感触がノイズと共に額から伝わった。
思わず隻手で額を覆い、距離を取ろうとするが拘束されているもう片方の手が邪魔をする。
そのため額に当てていた手で赤くなった頬全体を隠し、おどおどしながら侑を見上げた。
「な、なに…!」
「キスして欲しいって顔に書いてあったから。」
「書いてないって!」
「じゃ、訂正。俺がしたかったから。」
「人いっぱい居るのに…。」
「いいじゃん、見せ付けとけば。」
「はぁ……。」
振りほどけない手はそのままに、ずんずんと店内へ足を進めて行く。
羞恥に駆られて爆発しそう。仕方ない。先に侑の服を見ようと思ったけど、あたしのを選んでやる…!
と。
「怒った?」
「う、わ…!」