ナツマツリ


突如として、眼前に広がる整った満面。あたしが振り返らずに進むものだから、そう受け取ったらしい。


「怒っては、ない、けど…。」

「けど?」

「………、恥ずかしい。」


ぷい、と。思い切り視線を逸らし、口許を手のひらで覆い隠す。


「可愛い、ナツ。」

「可愛くない…!」

「はいはい。」

「(聞いちゃいねー…、)」


ご機嫌の侑はあたしの手を引き、店内を物色し始めた。


先程の様子を見ていたらしい店員さんのニヤついた視線には、態と合わせないようにしておいた。



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