ナツマツリ


ほら、と。差し出された隻手に迷い無く自身のそれを絡める。


最初の頃は、手を繋ぐのも恥ずかしかったな。


そんなことを思いながらクスリ、と。侑を見上げては微笑みを浮かべた。



―――――――――――――…



「侑、今晩なに食べたい?」

「んー…、肉じゃが。」

「了解。」


カートを押しながら、商品を物色して適当なものをカゴに入れていく。


そして、精肉コーナーに差し掛かったとき。


「ちょ、ゆう…!?」

「あー…、落ち着く。」

「あんたそれ、口癖だよね。」

「ナツ限定な。」

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