ナツマツリ


垣間見た吻から繋がる透明の糸が、酷く扇情的で。


羞恥に耳まで赤く染め上げられたのが、自分自身でも感じられた。


「ゆ、ここ精肉コーナー、」

「だから?」

「駄目でしょ…。」

「今は人居なかったからいいじゃん。」

「(…心臓持たない…。)」


ほぅ、と。辛うじて安堵の息を吐くも、体勢は先刻から微塵も変わっていない。


背後から抱き締められている状態、である。


「………ナツ。」

「なに。」

「エロいな、お前。」

「はぁ?」


怪訝な表情で侑を睨みつけるも、彼は物ともしていない様子。


む、としたあたしは。くしゃり、そのセットされた髪を掻き乱してやった。

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