ナツマツリ
番外編Ⅱ
/彼女と俺のファーストキス事情
ある休日の午後。大学が休みだという嬉遊感に浮かれ、だらだらと二人で過ごしていた。
「なー、ナツ。」
「なに。」
侑に声を掛けられ雑誌から顔を上げると、ニヤリといわく有りげな笑みを浮かべるそいつ。
「(…嫌な予感。)」
思わず眉間に皺を寄せるも、そんなあたしの様子など気にも留めていないらしい彼は言葉を続けた。
「ナツのファーストキスっていつ。」
「…、本気で言ってんの?」
「いいから言え。」
オラオラ、と双眼をぎらつかせて答えを迫るものだからあたしは一層、怪訝な表情を浮かべた。