ナツマツリ
「19のとき、地元で、あんたに奪われましたけど。」
忘れもしないあの日。
一世一代の告白をしてこの男と付き合い始めた夏。
まさか忘れたとは言わせない。
「違うんだよなぁ、これが。」
「はぁ?」
あーあ、と言った感じで肩をすくめて見せたものだから思わず喧嘩腰にそう言ってしまった。
どういうことだ、と。眉根を寄せて模索するも、ヒットする記憶がまるで無い。
「……。」
視線を強めて答えを促すも、侑はニヤリと口許を緩めるばかり。