ナツマツリ
それを口実に一緒に帰る権利を得た俺は、浮ついたテンションのまま席に着くナツに近づく。
すると。
「寝てる…、」
さらりとした黒髪が風に揺れ、長い睫毛を伏せて突っ伏していた。
薄くピンクに色付いた唇が視界に映り込む。
幸い、誰も居ない教室。
「、」
ぐらり、と。思春期の理性というのは、いとも簡単に揺れてしまうもので。
衝動に駆られた俺は、ゆっくりと身を屈めて。
彼女の唇に、自身のそれをそっと重ねた。