ナツマツリ
バタン、と。後ろ手に扉を確実に閉め、再びケータイを耳に当てて会話を再開させる。
「侑ー…、」
"なんだ、どうしたんだよ。"
「あ、待って。先にどうぞ…用事あったんでしょ?」
"いや?ちょっと休憩出来そうだったから電話しただけ、だけど。"
「……、」
返答に、困る。
瞬時に赤く染め上げられた自身の頬が玄関に飾られている鏡に映り込み、思わず顔を俯けた。
まだまだ、青いな、あたしも。
"ふは、照れてるだろお前。"
「っ、………まさか。」
強気に返したあたしの発言にクスリとした笑みをこぼす彼は、そんな嘘を見抜いているらしく。