ナツマツリ
そんな佳奈にまた苦笑する。
「だからごめんって。」
これに関しては全面的にあたしに非があるのだから、どうしようもない。切符も既に購入済みだし。
「…チーズケーキとカフェラテで許す。」
「了解。ありがと佳奈。」
そう言いつつにっこり微笑めば、照れたように頬を赤くする彼女。うどんの横に放置されていたお冷に手を伸ばしながら、拗ねたように口を開いた。
「ナツは、どうして彼氏作らないの?」
幾度となくされてきた質問。またか、と溜め息を吐きつつも日頃と変わらない返答を彼女に告げる。
「…別に欲しいと思わないし。」
―…半分は本当、半分は嘘。
ちぐはぐなあたしの心にいるのは、今や憧れの存在と化した初恋の相手だったりする。