ナツマツリ
数秒訪れた沈黙の後、恰好はそのままで声だけを投げ掛けた。
「……侑。」
「…なに。」
「そういうんじゃ無いんだよ。」
そこまで言ったあたしは、顔を上げてその顔を見つめた。頬杖をついた侑は怪訝な面持ちで視線を向けてくる。
「あたしは、英語を教える立場の人間になりたい。」
物おじせず真っ直ぐと言い放ったその言葉は、二人だけの空間に凛と響き渡った気がした。
初めて明確な将来像を彼に告げたあたし。些細な不安は纏うものの、それに関しての後悔は微塵も感じてはいない。
「……初めて聞いた。」
「うん。…初めて言ったから。」