ナツマツリ



「…だから、結婚した流れで専業主婦っていうのは嫌かも。」

「……。」

「大学行かせて貰ってる訳だしさ。」



現在大学でも優秀な成績を修めている侑は、きっと医者になるという夢を叶えるだろう。

そしてあたしのことも養う、と考えているのには薄々感づいていたのだけれど。



「じゃあ、学校の教師になるってことか?」



不安げな色を宿した瞳でこちらを見る侑に苦笑する。


医者と教師。双方とも超が付くほど多忙なカテゴリーに入るであろう職種に就けば、生活にすれ違いが及ぶことは免れないだろう。



だから彼が不安に思う心情も分かるのだけれど。



「違うよ。」

「あ?…教師じゃねぇのか。」


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