ナツマツリ
「教師には違い無いんだけど。」
不安にさせてごめん。
そういう意味を孕んだ指先を、陶器のような頬にするりと滑らせた。
「侑さ、あたしが10年も英会話教室に通ってたの知ってるよね。」
「あぁ。」
「その先生ってのが凄い人でさ。」
頬に滑らせていた指先を、ワックスのついていないサラリとした茶髪に滑り込ませる。
着飾っていないこの自然体の髪、凄い好きだな。…なんて思いながら。
「昔から自宅で英語を教える教師ってのに、憧れてるんだよね。」
些少な微笑をこぼしながらそう述べると、短髪を撫でていた手を掴まれた。
じんわりと、触れた部分が熱を孕む。