ナツマツリ
と。
「ナツ。」
ベッドを背もたれにして座り込んでいる侑に視線を落とす。ベッドの上に居るあたしは、必然的に彼を見下ろす形になるから少し違和感を覚えた。
「なに。」
あたしの素気ない返答に対し、す、と。流すように視線だけ向けた彼に思わず息を呑む。
瞬間的にその雰囲気が一変したのを感じる。射抜くような瞳を寄こしながら、目の前の男は薄い唇を開いた。
「まだ、圭さんのこと好きなのか。」
「、」
痛いとこ突いてくるな、なんて。真直ぐな瞳は相応の答えを促しているのは知っていたけれど。
「さあね。」
あたしは。はぐらかして、逃げた。