ナツマツリ

/男と女の諸事情




午前中。


買い物から帰宅したあたしは、コーヒーを入れて一息ついていたのだが。けたたましく着信を知らせるケータイに重い腰を上げた。



「……はい。」



あ、いけない。誰からの着信か確認するのを忘れていた。


しかしながら、次の瞬間。鼓膜を叩いた声音に、上がり切った両肩は自然と元の位置へと戻っていく。



"ナツうううウウ!お久ぁ!"

「…、佳奈。」

"ちょっとぉ、何そのテンションの低さ!親友からの電話だよ!?久しぶりの親友からの電話なんだよぉー!"



キンキンと響くその声に、思わず電話口を耳元から遠ざけてしまう。


いや、大袈裟な訳ではなく、本当に佳奈の声は大きくて。


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