ナツマツリ
「…、久しぶりって言っても。三日前にも電話したと思うんだけど……。」
"あれー、そうだっけ!覚えてないや!"
「…………、」
"あ、今何コイツとか思ったでしょ!思ったよね!?"
「…思ってないから…。」
耳、痛い。眉間に皺を寄せて話しているあたしは、端から見れば怒っているように見えるだろう。きっと。
取り敢えず、と。手元に握っていたカップを口許まで運び、苦みのあるそれを口に流し込む。
"ぶうぶう。あ、それでさぁ!今晩って空いてる?てか空けられない!?"
「え、どうしたの。」
"ちょっと聞いてほしいことがあるのー!お願いナツ!今日だけでいいからぁ!"
「えー…、」
"駄目!?"
切羽詰まったように詰め寄ってくる佳奈。電話口向こうで、だけれど。