ナツマツリ
「メール来てんじゃねぇの?」
俺によく似た口調でそう口にした息子の言葉に、ポケットに突っ込んでいたそれを引っ掴んだ。
あぁ、マジだ。《佳奈と久しぶりに飲んできます。ナツ》彼女らしい短文のそれに目を通した俺は一気に脱力した。
「あぁ、やべ。滅入る。」
「どんだけだよ、溺愛しすぎじゃね。」
若干呆れた視線を交えてそう述べた陽には目もくれず、リビングに入った俺は一直線にソファーを目指す。
そのままドカッと腰を下ろして腕を目元に宛がい、はー…、と長い溜め息。あぁ、すげぇ疲れた。
と、そのとき。
「おらよ、コーヒー。ブラックだろ。」
「……は?」